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一般企業法務

第13回企業法務コラム 中小企業が顧問弁護士を持つメリットとは

「契約書をチェックせずにそのまま署名してしまった」「従業員とのトラブルが起きてから慌てて対応を考えた」「取引先との問題が深刻化してから弁護士を探し始めた」――こうした経験をされた経営者の方も多いのではないでしょうか。中小企業の経営においては、日々の業務に追われ、法律の専門家に相談するタイミングを逃してしまうことが少なくありません。

大企業であれば社内に法務部があり、日常的に弁護士と連携しながら法的リスクを管理しています。しかし中小企業では、「弁護士に相談するのは裁判になったときだけ」「顧問弁護士は費用が高い」といった認識から、法律の専門家との関わりを敬遠しがちです。実際には、問題が深刻化する前に相談できる体制があるかどうかで、企業経営の安定性は大きく変わってくる可能性があります。

今回のコラムでは、中小企業が顧問弁護士を持つことでどのようなメリットが得られるのか、また顧問弁護士がどのように企業経営をサポートできるのかについて、具体的な場面を交えながら解説します。

顧問弁護士とは何か

顧問弁護士の役割

顧問弁護士とは、企業と継続的な顧問契約を結び、日常的に法律相談や法務サポートを提供する弁護士のことを指します。いわば「企業の身近な法律の主治医」のような存在といえるでしょう。

多くの中小企業では、法律問題が発生してから弁護士を探すというケースが一般的です。しかし、顧問弁護士がいれば、小さな疑問や不安が生じた段階で気軽に相談できます。契約書のチェック、取引条件の確認、従業員との労務トラブルの初期対応など、事業活動のあらゆる場面で法的なアドバイスを受けることが可能です。

スポット相談との違い

「問題が起きたときだけ弁護士に相談すればいいのでは」と考える方もいらっしゃるかもしれません。確かに、必要なときにだけ依頼する「スポット相談」という方法もあります。

しかし、スポット相談の場合、弁護士は相談を受けた時点から企業の状況を把握しなければならず、背景説明に時間がかかることがあります。一方、顧問契約を結んでいれば、弁護士は普段から企業の事業内容や取引関係、組織体制などを理解しているため、スピーディーかつ的確なアドバイスが可能です。また、顧問契約の場合、一定範囲内の相談であれば追加費用が発生しないケースも多く、気軽に相談しやすいというメリットもあります。

中小企業が顧問弁護士を持つ具体的なメリット

トラブルの予防と早期対応

顧問弁護士の最大のメリットは、法的トラブルを未然に防げることです。契約書の段階で不利な条項を発見し修正したり、取引条件について事前に確認したりすることで、後のトラブルを回避できる可能性が高まります。

たとえば、取引先から提示された契約書に一方的な損害賠償条項が含まれていたとします。そのまま署名してしまえば、将来、想定外の損害賠償を求められるリスクがあります。顧問弁護士がいれば、契約締結前にこうしたリスクを指摘し、条項の修正や交渉をサポートすることができます。

また、従業員とのトラブルについても、初期段階で相談できれば解決の選択肢は広がります。問題が深刻化してからでは、解雇の有効性が争われたり、労働審判に発展したりする可能性もあります。日頃から労務管理について相談できる体制があれば、こうしたリスクを減らすことが期待できるでしょう。

迅速な意思決定のサポート

経営においては、スピーディーな意思決定が求められる場面が少なくありません。新規取引の開始、事業提携の検討、取引先からのクレーム対応など、法的な判断が必要な局面は日常的に発生します。

顧問弁護士がいれば、電話やメールで気軽に相談し、その場で法的な見解を確認できます。「この契約を結んで問題ないか」「この対応で法的リスクはないか」といった疑問に、タイムリーに答えてもらえることは、ビジネスチャンスを逃さないためにも重要です。

スポット相談の場合、弁護士との初回面談の日程調整から始まり、回答を得るまでに数日から数週間かかることもあります。顧問契約があれば、こうした時間的なロスを避けることができるでしょう。

経営者の心理的負担の軽減

経営者の中には、法律問題に関する不安を一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。「この対応で本当に問題ないだろうか」「訴えられたらどうしよう」といった心配は、日々の経営判断にも影響を与えることがあります。

顧問弁護士という相談相手がいることで、こうした不安を軽減できます。法的な裏付けを持って判断できることは、経営者にとって大きな安心材料となるはずです。また、万が一トラブルが発生した場合でも、すぐに相談できる弁護士がいるという安心感は、冷静な対応につながる可能性があります。

コストの予測可能性

「弁護士費用が高額になるのではないか」という懸念から、相談を躊躇される経営者も多いのではないでしょうか。確かに、トラブルが深刻化してから弁護士に依頼すると、交渉や訴訟対応で高額な費用が発生することがあります。

顧問契約の場合、月額固定の顧問料で一定範囲の相談に対応してもらえるケースが一般的です。金額は事務所や契約内容によって異なりますが、月額数万円程度から設定されていることが多く、年間の法務コストを予測しやすいというメリットがあります。小さな疑問でも追加費用を気にせず相談できることで、結果的にトラブルの予防につながり、長期的にはコスト削減になる可能性も考えられます。

顧問弁護士が対応できる具体的な業務

契約書の作成・チェック

売買契約、業務委託契約、秘密保持契約など、企業活動ではさまざまな契約書を取り交わします。顧問弁護士は、これらの契約書のチェックや作成を行い、自社に不利な条項がないか、必要な条項が盛り込まれているかを確認します。

特に取引先から提示された契約書については、一方的に不利な内容になっていることもあります。専門家の目でチェックしてもらうことで、将来のリスクを回避できるでしょう。

労務問題への対応

従業員の採用、労働条件の設定、懲戒処分、退職・解雇など、労務管理に関する問題は中小企業にとって身近で重要な課題です。不適切な対応をしてしまうと、労働審判や訴訟に発展し、企業の評判や経営に大きな影響を与える可能性があります。

顧問弁護士は、就業規則の整備、問題社員への対応方法、残業代の計算方法など、日常的な労務相談に対応します。トラブルが起きる前に相談できる体制があることで、適切な労務管理を実現できるでしょう。

取引先とのトラブル対応

代金の未払い、納品物の不具合、契約内容の解釈の相違など、取引先とのトラブルは避けられないこともあります。こうした場合、感情的な対応をしてしまうと問題が深刻化することがあります。

顧問弁護士がいれば、冷静に法的な観点から状況を整理し、内容証明郵便の作成、交渉の代理、必要に応じた法的手続きの選択など、段階に応じた適切な対応をサポートしてもらえます。

経営判断への法的アドバイス

新規事業の立ち上げ、事業提携の検討、M&Aの検討など、重要な経営判断には法的なリスク評価が欠かせません。顧問弁護士は、こうした経営判断において法的な側面からアドバイスを提供し、リスクを最小限に抑えながら事業を進めるサポートをします。

顧問弁護士を選ぶ際のポイント

中小企業の実情を理解しているか

弁護士にもそれぞれ得意分野があります。大企業向けの企業法務を専門とする弁護士もいれば、中小企業の実情に精通した弁護士もいます。中小企業の場合、限られた予算や人員の中で実行可能な現実的なアドバイスが必要です。中小企業の実情を理解し、実務的な解決策を提案できる弁護士を選ぶことが大切でしょう。

相談のしやすさとレスポンスの速さ

顧問弁護士との関係は継続的なものです。相談しやすい雰囲気か、質問に対して迅速に対応してくれるかといった点も重要です。初回相談の際に、コミュニケーションの取りやすさやレスポンスの速さを確認されることをおすすめします。

料金体系の明確さ

顧問料の金額、顧問料に含まれる業務の範囲、追加費用が発生する場合の基準など、料金体系が明確であることは安心して依頼する上で重要です。契約前にしっかりと確認し、不明点があれば質問しておくことが望ましいでしょう。

おわりに

中小企業が顧問弁護士を持つことは、決して大げさなことではなく、むしろ日常的な経営リスクを管理し、安定した事業運営を実現するための現実的な選択肢です。問題が起きてから対応するのではなく、起きる前に相談できる体制を整えることで、経営者は本業に集中でき、企業の成長につながる可能性があります。

「まだうちには早い」と感じる経営者の方もいらっしゃるかもしれませんが、企業規模に関わらず、法的リスクは存在します。小さな疑問や不安を気軽に相談できる関係を築いておくことが、長期的な企業の安定につながるのではないでしょうか。

当事務所では、北海道・札幌の中小企業向けに、顧問弁護士サービスを提供しています。契約書のチェックや労務問題、取引先とのトラブル対応など、日常的な法律相談から紛争解決まで幅広くサポートいたします。初回相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

簗田真也

弁護士法人やなだ総合法律事務所、代表弁護士。札幌弁護士会所属。スタートアップ・ベンチャー法務、不動産法務、M&A、事業再建・会社清算、国際取引法務を得意とする。弁護士・司法書士・行政書士のトリプルライセンスホルダーでもある。

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